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2005/09/13
ACCESS社とPalm社が見る、ふたつの夢とひとつの未来
先日のACCESS社によるPalmSource社買収に関して、いくつの重要な続報が書かれた記事がCNETにアップされていた。
■Palm OS、パームソース買収後も存続へ--ACCESS幹部が明らかに(CNET)
まず、現行のPalmOSユーザにとって最大の関心事についての真相が紹介される。
日本企業ACCESSの幹部は、9日に発表した3億2430万ドルに上るPalmSourceの買収契約は、Palmおよびソニー、京セラ、韓国のSamsung Electronicsなど40を超える企業が製造している3900万台以上のPalmデバイスに、ただちに影響を与えるものではないと述べた。
この嬉しい事実を一概には信じがたい読者のために、もう少し本音に近いレベルでのACCESS社の意向が書かれている。つまり、せっかく買ったPalmSource社のリソースを同社はどうしたいのか?という話だ。
ACCESSでは、PalmSourceが2005年にChina MobileSoftの取得を完了させた時に開始した、LinuxベースのPalm OS開発を最後までやり遂げる意向だという。ただし、そのタイムスケジュールはまだ明らかにされていない。
さらに具体的に、ACCESS社の持つリソースと、PalmSource社が持つリソースはどんな結婚生活を送ることになるのか?…という説明が続く。
ACCESSは、同社のLinuxベースブラウザ「NetFront」と、Garnetの名称で知られるPalm OSバージョン5.xを組み合わせていく予定だ。同社関係者によれば、ACCESSは、PalmSourceによる広範なライセンシングが行われなかったPalm OSバージョン6(Cobalt)についても、その復活を考えているという。
パッと読んだだけだと、ACCESS社はあまりにも贅沢な希望を持ちすぎているようにも見える。PalmSource社が現在行っている作業をつつがなく継続しながら、それでいて、同社が苦闘しながら続けている、あるいは、いつ果てるともなく続けていたコバルト色の投資作業を、ACCESS社は引き継ごうとしている。「NetFront」との合体という本音の作業を実現しながら!
もちろん、これらを全部実現してくれるなら、そりゃもうめちゃくちゃ嬉しい。だから、今はただ、これらの夢の言葉を無防備に信じ続けたい!そう思うだけだ。
一方、この記事には、ACCESS社が語る未来に対して、私以上に真剣に耳を傾けているだろう企業のスタンスも載っている。そう、あの会社の話だ。企業名をpalmOne社からPalm社に戻すことで、もしかしたらPalmSource社との合体も近いのではないか?とさえ、私は個人的に思っていたあの企業、Palm社の話。真相は、PalmSource社との合併が遠ざかったことで、再び企業名を昔の名前に戻す決意をしたらしい。自分一人でも生きていけるんだ、という意志を世間に示すために。…という企業名変更の理由は、あくまで私の空想の範囲内だ。
Palmの社長兼CEOであるEd Colliganは短い声明を発表し、今回の買収を支持しているが、PalmはもはやPalm OSに固執していないと述べた。また同社CFOのAndrew Brownは先ごろ、CNET News.comに対して、同社が最新のモバイルバージョンWindows上で動作する「Treo」スマートフォンを開発したことで、これまでPalm OSベースの機器の購入をためらっていた企業顧客を取り込める可能性が出てきたと話している。
という訳で、必ずしも冷静とばかりは言えない記述が並んでいる。それなりに困惑しているし、それなりに意地になっている。でも、これだけは言える。決別じゃなく、一人ででも生きていけるという意志を世間に対して示すことで、未来の堅実さを保証しようとしている。決して、悲観的な未来だけが示されている訳ではない。
PalmSourceは、モバイルアプリケーションの開発コミュニティがおよそ40万人規模に達しているとアピールしている。Palm OSにLinuxコードがより多く組み込まれるようになれば、この規模はさらに大きくなると考えられる。
Palm社はもちろん、ACCESS社も今のところは、決してその不幸な決別を望んでいる訳ではないようだ。それよりも、その両社の間にLinuxという魔法の子供が加わることで両社はそれぞれ、現在以上に幸せな未来を迎えることが出来るだろうと信じている。あとは、時間とお金の話かな、と思っている。そう、よりよい未来に、よりよいタイミングとよりよい資本でもって完成させることが出来るのか?そういった時間とお金の問題、さらには人的リソースも絡んだ、キャパシティの問題が絡みついてくる。それでも両社は手を離さずによりよい未来を掴むことが出来るのか?…当然、その未来を、私は個人的には希望している。信じている。
2005-09-13 | Project Palm 直接リンク