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2005/02/01

実刑判決

【追伸あり】
 今日は2月1日、そう!「あの日」なのだ!

■元大阪高検公安部長に実刑判決 収賄罪で大阪地裁(asahi.com)

捜査情報を得ようとした元暴力団組員から飲食や女性の接待を受けたなどとして、収賄や公務員職権乱用などの罪に問われた元大阪高検公安部長の三井環(たまき)被告(60)に対する判決公判が1日午前、大阪地裁で開かれた。宮崎英一裁判長は懲役1年8カ月、追徴金約22万円(求刑懲役3年、追徴金約28万円)の実刑を言い渡した。収賄の起訴事実のうち、元組員(42)=贈賄罪で懲役5カ月の実刑確定=から大阪市北区のホテルで勤務時間中に女性の接待を受けたとされる事件については無罪とした。

 前のサイト(パルマガ)から執念深く追い続けてきたあの事件、三井環事件の判決が出た。接待をした張本人である元組員の証言「のみ!」を「迫真性があり、信用できる」と判断して立件した贈賄罪というのが、どうにも納得いかない。

検察側は「嫌疑が明らかである以上、起訴するのは当然」と主張。接待をめぐっては、元組員が「検事さんとしての力を借りたくて接待した」などと贈賄を認める証言をした事実を指摘。「迫真性があり、信用できる」とした。そのうえで、「暴力団の違法行為に対して厳正に臨む立場にありながらわいろを受け取ったのは前代未聞。検察に対する国民の信頼を裏切った」と厳しく批判していた。調活費問題は一切触れてこなかった。

 何よりも納得いかないのは、この事件、検察側が「暴力団の違法行為に対して厳正に臨む立場にありながらわいろを受け取ったのは前代未聞。検察に対する国民の信頼を裏切った」と明言した珍しい事件でありながら、これまでほとんどのメディアが表立って報じてこなかった。(その詳細については、過去記事から「パルマガ」時代の各種ニュースを参照のこと!)このあたりに、異常なる不可思議さを感じる。

 でもさすがに今日は「判決」とあって、大手メディアにも記事が並んでいる(Mainichi InteractiveとNIKKEI NETには、11時15分現在、まだ見えない!)。が、いずれの記事もほぼお定まりの内容に終わっている。

■捜査情報見返りに接待、元大阪高検公安部長に実刑判決(Yomiuri On-Line)
■元大阪高検公安部長に実刑判決 収賄などで大阪地裁(Sankei Web)

【追伸】2005.02.02

 以下に、その後、ネット上にアップされた三井環事件判決に絡んだ記事を転載する。見つけたものは可能な限り乗せてみた。印象としては、鳥越コメントを載せたMainichi Interactiveを筆頭に、【視点】でかなり強硬な意見を書いたSankei Webなどに、今回の判決への無言の怒りが感じられると見るのは、深読みのし過ぎか?逆に、第一報を載せたわりにasahi.comの後追いが浅いように見える。気のせいか?

■捜査情報の見返りに接待、元大阪高検公安部長に実刑判決(NIKKEI NET)

検察側は、計6回の接待総額がわいろに当たるとしており、贈賄側の元組員=実刑確定=に対する判決でも、すべてをわいろと認定している。この日の判決は、6回目について、接待があったとされる日時に、元組員は別の場所にいたことを記した関係者の日誌などを踏まえ、「被告と元組員が一緒にいたことの証明が不十分」として無罪とした。しかし、残る5回については、「現職検事だった三井被告から捜査情報の提供などを期待していた」と職務との関連を認定。「個人的な飲食だった」とする弁護側の無罪主張を退けた。

■捜査情報漏えい:黒い癒着を指弾、「調活費疑惑は別問題」(Mainichi Interactive)

元最高検検事の土本武司・帝京大教授(刑事法)の話 収賄の一部が無罪になったのは捜査不十分と言うほかないが、実刑判決は検察がほぼ完勝したといえる。現職検事と暴力団の癒着ともいえる事件で、検察の公正さと信頼を著しく傷つけた。これまで検事の不祥事がなかったわけではないが、その多くは職務熱心のあまりであり、三井被告は日本検察の歴史に泥を塗った。本件と調査活動費とは全く別問題。調活費の件があってもなくても厳しくただされるべきものであり、もし調活費流用疑惑があるなら、検察は本件とは別に自ら国民に説明すべきだ。

■判決:三井被告に実刑、懲役1年8月 大阪地裁判決(Mainichi Interactive)

収賄罪などに問われた元大阪高検公安部長の三井環被告に懲役1年8月を言い渡した1日の大阪地裁判決は、「検事の職責を売った悪質な犯行」との検察側の構図にほぼ沿った内容となったが、調査活動費の不正流用問題の糾明の必要性にも言及した。判決は「被告の処罰と調活費問題は別」と実刑にしたものの、調活費問題への対応を法務・検察当局に強く促すものとなった。

■捜査情報漏えい:鳥越俊太郎さん「疑惑突かず判決は茶番」(Mainichi Interactive)

三井さんが逮捕された日は午後3時から、大阪市内のホテルで三井さん本人の内部告発を収録する予定だった。テレビとして初めて顔を出しての告発だった。しかし、その日の午前中、待機する私たちに東京のテレビ局のプロデューサーから「三井さんが逮捕された」と電話が入った。私は「検察もそこまでやるのか」と驚くと同時に、最高の司法権力が見えも外聞もかなぐり捨てたという恐怖感を抱いた。
登録免許税の軽減措置を図ろうとした(詐欺の)容疑は、高検幹部という司法の重要人物を逮捕するには余りに軽微過ぎる。一般市民なら身柄を拘束される事案でない。私は、マスコミへの告発や国会での証言を予定していた三井さんの口封じとしか思えなかった。三井さんの逮捕後、私は、検察が「転売利益を得ようとした」と指摘した神戸市内のマンションを訪れた。部屋は改装工事中で、入居の意思は明らかだった。

■「予想外の結果」実刑の三井被告、判決批判(Yomiuri On-Line)

記者会見で、三井被告は、「全面無罪を確信していたが、予想外の結果にびっくりした。お粗末な内容だ」と振り返った。検察庁の調査活動費流用問題について、判決が「糾明が必要」と言及した点についても、「不十分な指摘で逃げている感じがした。裏金と認定してほしかった」とし、控訴審は「今日の判決文を十分に精査し、反証していくつもり。全力を挙げたい」と語った。

■黒い交際を指弾 裁判長「訴追は当然」(Yomiuri On-Line)

宮崎裁判長はこの日、調活費問題については「被告の供述は具体的。客観的状況に沿う部分もある。(逮捕は)『口封じ』とする主張も無理からぬ面もある」と、三井被告の訴えにも一定の理解を示した。しかし、暴力団から接待を受けた収賄罪を認定したうえで、「検察官、ひいては刑事司法に対する社会一般の信頼を大きく損なった」と〈黒い交際〉を断罪した。

■法務幹部、怒りと反省交錯(Sankei Web)

この日の判決では、調査活動費の不正流用疑惑告発の「口封じ」と主張する三井被告の訴えに対し「被告が口封じと主張するのは無理もない」としたが、法務省幹部は「口封じするなら逮捕しない。逮捕したらかえって目立つでしょう。調活の問題は事件とはまったく関係ない」と再度強調していた。

■「口封じ」捜査とは別 「調活費究明は必要」(Sankei Web)

しかし、犯罪の嫌疑があれば検察当局が捜査や訴追すべきなのは当然とし、「被告が調活費問題を公表しようとする活動を行っていたからといって、そのために被告に対する捜査や訴追を控えなければならないということにはならない」と判断。調活費疑惑が事件の底流にあった可能性に触れながら、刑事責任は別次元との判断を示し、「公訴権乱用には当たらない」との結論を導き出した。そのうえで判決は、調活費疑惑そのものにも向き合った。「社会的に重大な問題」と位置づけたうえで、「検察幹部として自らこれに関与したという被告の供述は軽視できないもの」と言及。さらに「問題の究明が必要であることは明らかだ」とまで踏み込んだ。

■“悪行”の深さ断罪 三井元高検部長 有罪(Sankei Web)

法廷でも攻撃的だった。かつて上司だった元大阪高検検事長を自ら尋問。贈賄側の元組員とは「なぜうそばかりつくのか」「うそをついているのはそっちや」と言い合いにもなった。一方で、古巣への愛着も隠そうとしなかった。判決直前には、三十年間を過ごした検察への思いを「当時の幹部を批判しただけで、検察という組織は今でも好きだ」と表現する一幕もあった。しかし、組織からの視線は冷たかった。在職時には三百枚届いた検察関係者からの年賀状も、今年は二枚だけだったという。

■【視点】「裏金疑惑」真摯に向き合え(Sankei Web)

この事件の特殊性は、三井被告が検察幹部による調査活動費流用疑惑の内部告発者だったことに尽きる。逮捕のタイミングが、現職幹部のまま初めて実名でテレビ局の取材に応じる直前だっただけに、「口封じではないか」という憶測が法務検察を直撃した。検察側は「タイミングは偶然。暴力団が絡む悪質な犯罪事実が明らかだったので逮捕、起訴した」と正当性を主張した。ただ、検察関係者の間ですら「逮捕してもいずれは告発される。検察は告発者の三井被告自身の信用性を下げるため、『相打ち覚悟』で身柄拘束に踏み切った節もうかがえる」という疑念がくすぶっているのは事実。

2005-02-01 | Project Palm 直接リンク

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