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2004/10/26

未来を握りしめるための方法

 先日、某所で実用されているPEG-VZ90を見た。操作を始めると、思わず周囲に人垣が出来た。それぐらいのインパクトのあるマシンだ。これはもう間違いない。さて、そんなVZ90について、非常に興味深い情報がネット上に登場した。

 正直言って、市販されているコンピュータ雑誌やモバイル雑誌の特集記事が2〜3個出来上がるほどの情報量を持った凄い記事だ。量じゃなく質が!

■クリエ PEG-VZ90 開発者 スペシャルインタビュー(クリクラ!)

クリエ「PEG-VZ90」の発表後、ソニーさんのご厚意で発売前に実機をお借りして各種レビューを公開しましたが、実は貸し出し機の返却の際にソニー側の計らいでVZ90の商品企画を担当したソニーの後藤庸造さんと意見交換をする機会を設けていただきました。その模様について、ソニーさんが掲載許可をくださいましたので、スペシャルインタビューとして公開します。色々な意味で興味深い内容になっています。クリエユーザーならずともPDAに興味のある方は是非ご一読ください。

 私自身のスタンスはもう今さら繰り返すまでもなく、SONYという会社には既成のPalmユーザやらCLIEユーザを思い切って裏切るぐらいのアプローチを期待している。決して、伝統を!などとは期待していない。なぜなら市場が今、そういう状況にあるからだ。つまり、既成のユーザだけを見ていたらカテゴリごと難破してしまう、そういう状況だ。

 そういう意味では、PEG-VZ90は正解だ。ちゃんと既成のユーザを裏切っているし、コンシューマ層への衝撃度(インパクト)やアピール度も持っている。ただし、一点だけ不満がある。上記記事中でSPAさんも書いている。

SPA「せっかくのAVビューアーですから、AVコンテンツそのものが手軽に入手できると良いのですけど。そして、そういうコンテンツを手に入れる手段をソニーさんが用意してくれないのでしょうか…。」

 正直この一点に尽きる。SONY社の、そしてCLIE開発チームのこの質問に対する解答は、上記の記事読んで貰うとして、その理由やらいい訳はともかく、市場が今こんな状況にある以上、もう少しビジョンを進めて欲しかった、というのが私の偽らざる本音だ。

 少なくとも初代CLIEの時、当時の開発チームはいくつかの妥協やら挫折やらを繰り返しながらも、コンシューマにビジョンを提供しようとして、ハードウェア開発だけでなく、ソフトウェア開発やコンテンツ提供サービスの面でも120%の力を発揮した。その完成度はともかく、そこには「決意」があった。だから、コンシューマはそこに未来を感じた。その後の歴史は必ずしも理想通りには進まなかったが、CLIE登場からの数十ヶ月間、少なくともビジョンは現在よりも具体的な形で提供されていた。

 なので、次回CLIEにはそうした部分での充実を望みたい。その周辺環境に「退路」ではなく「決意」を感じさせるマシン。私の願いとしては、私を含む既成のユーザなどどんどん蹴散らして貰って構わない。その替わりに、コンシューマをしっかりと狙い打ちして貰いたい。

 その意味で、今回のVZ90はハードウェア技術でコンシューマをしっかりと意識しながら、価格とコンテンツ供給の両面でコンシューマに甘えてしまったように思う。この2つのうちどちらかは次回までに解放して貰いたい。

 さて、SONYだ!素敵な会社だ。素敵な人材が揃っている。素敵なコンテンツまで揃っている。そうしたコンテンツを活かすのも技術、殺すのも技術!これはCLIE単体のことじゃなく、SONYという企業が背負った21世紀の十字架であり、これを克服した瞬間にそれはSONYという企業にとって最大のアドバンテージとなるはずだ。それぐらいに重大な課題だと私は思う。

【ヒント】ビデオゲームも、BSテレビも、パソコンも、音楽プレイヤーも今、みんな同じ問題にぶつかっているはずだ。その宿題を放置したままでは、夏休みは永遠に終わらない。

 ガンバレ、SONY!

2004-10-26 | Project Palm 直接リンク

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