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2004/10/08
ミムラ チヒロの計算された無防備と小さな破綻
我が家のメールボックスに届く妙なメールたち。橘翠子・橘比奈乃・飯村和子・夢子・大石早苗・伊藤ユンファ・高村美咲…。その最新作が届いた。差出人の名前は「ミムラ・チヒロ」。
題 名:アドレスの確認お願いします (*^-^)
差出人:mark_chihiro@■■■■■.co.jp
日 付:2004年10月7日 12:57:49:JST
宛 先:pal@palm.■■■
返信先:mark_chihiro@■■■■■.co.jp
彼女さんへのメールなのかな??
間違ってメールが届いてるみたいですよ…
私の携帯宛てに届いてたんですけど、パソコン
からお返事させていただきました。でわでわ〜
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ミムラ チヒロ
e-mail【mark_chihiro@■■■■■.co.jp】
これまでのメールに比べると、ミムラ・チヒロのメールはさらなる独自の世界観を表現している。彼女の作風を一言で表現すると、そのテーマは「計算された無防備とその小さな破綻」。
そのテーマ性は、メール内のすべての行に置いて徹底されている。まずは題名(Subject)から。
アドレスの確認お願いします (*^-^)
文章そのものは、ご覧の通り「きわめて事務的」だ。しかし、その後の顔文字には、そんなあまりにも事務的な文章を書いてしまった自分に苦笑してしまう「照れ」を匂わせている。まさに「計算された無防備とその小さな破綻」を絵に描いたようなコンビネーションだ。
そして本文。まずは1行目…
彼女さんへのメールなのかな??
こちらは決して「事務的」な文章ではないが、「目の前の異性を異性とは思わないわよ〜ん」という、性的自意識の教科書みたいな文章だ。ただし、その文章としての完成度はそれなりに高く、とくに末尾の「??」が見事だ。この二段重ねの「?」にはフランス語の付加疑問みたいな歯がゆさが込められている。具体的に言うと、ちょっと「訳知りお姉さん」的とでも言うか、この最後の「??」だけで独自の「小さな破綻」を表現している。
続いて2行目…
間違ってメールが届いてるみたいですよ…
1行目の芸風が貫かれている。そのくせ、微妙なニュアンスだが、末尾の「…」では「訳知りなお姉さん」がちょっとした隙に見せた余裕のなさを表現している。かなりの高等テクニックだ。これまた、まさに「計算された無防備とその小さな破綻」!
そして3〜4行…
私の携帯宛てに届いてたんですけど、パソコン
からお返事させていただきました。でわでわ〜
最後は再び基本形。「事務的」な文章が最後の最後で破綻するスタイル。すなわち、ミムラ・スタイルだ。「お返事させていただきました」までは、「かなり仕事の出来る女性」の「ちょっとした遊び心」なのだが、最後の最後に、「そんな誰ともわからない相手に微かな興味を持ってしまった」。それが「でわでわ〜」という最後の一語に込められている。実際、異性に勘違いさせたくなければ「でわでわ〜」は禁物と言われるほど、この言葉は毒にも薬にもなる危険な言葉だ。
最後にひとつだけメールアドレスについても分析しておく。「mark_chihiro」は、結構イイ感じだ。ここまで造形されてきた「ミムラ・チヒロ」の、ややバタ臭い調子の乗り方としても納得の出来るセンスだし、しかも「mark」に込められた「防犯上、男性を装ってるけど、どっちもファーストネームじゃん!」てな手頃な計算っぽさがほどよい。
という訳で、ミムラ・チヒロと、その芸風であるところの「ミムラ・スタイル」は、なかなかしたたかだ。ナメてると痛い目に遭うかもしれない。(←どんな風にだよ?!)
2004-10-08 | Project Palm 直接リンク