« やってみた。 | メイン | 閑話休題。 »

2008/12/28

遠い道。

175 正直、Project Palmへの道は遠かった。

 2008年夏と言えば、世界金融不安の年として永遠に歴史にその名を残しそうだが、今回リリースすることになった物語「ProjectPalm」を最初に書き始めたのは、今から7年前の夏、そう、2001年の夏だった。

 同夏、たくさんの資料を読み、そして、国内外での取材を行い、シリコンバレーでの最後の取材を行ったちょうど一週間後、ニューヨークでWTCビルが二棟、続けざまに倒れた。そんな夏だった。

 そんな大昔、7年も前に書いた作品だったが、運命のイタズラに翻弄されるように、出版までの道はひたすら遠くなった。最大の原因は、執筆開始時には、Palmが全盛期だったため、出版社は「今すぐにでも出版させて下さい!」という空気だったが、第一稿が完成した頃にはPalmが傾き始め、輪をかけるように、その出版社の経営までが楽じゃなくなって、そうこうするうちに私にも時間がなくなった。

 その結果、2002年夏、執筆開始からおよそ1年をかけた40万字の大作が宙に浮いてしまった。

 さらに大きな障害が塞がった。私が「紙の出版」にこだわったことである。コストの少ない電子出版であればすぐにでも出版は可能だった。でも、当時はまだ電子出版が特殊なメディアであったため、私は「紙の出版」にこだわった。

 理由は、この本の執筆のために協力してくれた多くの人たちのことをより多くの人たちに伝えるためにも、特殊なメディアではなく、もっと幅広い人たちに届くメディアを使いたかったから。でも、こうして「紙の出版」にこだわったことが、結果として、大きな障害となった。

 でも、本当のことを言うと、最後の数年間で、最大の障害となったのは、作品の「量」の問題だった。というのも、山あり谷ありの末に、この最後の数年間に関して言うなら、この本の価値を認めてくれたある人のおかげで「紙の出版」で出すことは可能だった。そういう条件を提示して貰っていた。ところが、出せなかった。なぜか?それが、作品の「量」の問題だった。

 実はこれまで、出版の話が出てくるたびに、歴史が進み、そのたびに最終章を書き換えたり、付け足したりすることにはなったが、それでも物語の主要部分はずっと同じだった。2002年夏に完成した「40万文字」という量!それがそのまま残っていた。この40万文字をどうやって書籍にするのか?

 これが一筋縄ではいかなかった。40万文字を「紙の出版」物として出そうとすると、かなり分厚いハードカバーを数冊に分ける必要がある。しかも、分冊するとなるとそれなりの編集作業がいる。じゃあ、短くしようとすれば、そのためにも膨大な編集作業がいる。私にそのような能力があればいいのだが、私にはそういう能力はなかった。40万文字という膨大な文字の山を築くところまでは出来たが、それをどうにかするような能力を持っていなかった。正直を言うと、そのための時間さえなかった。

 そんな時、二人のホワイトナイト(白馬の騎士)が現れた。一人は、今回の出版元となってくれた電子書籍の会社「マイカ」の井上真花さん。そして、もう一人は、そんな井上さんが見つけてくれた編集者の渡辺幸雄さん。この二人が登場したおかげで、呪われて封印されたままだった40万文字のテキストに光があたることになった。

※そんな「Project Palm」の購入はコチラで。

※jtacさん、感謝!>マイカさんから引っ張ってきた画像の文字が「Projetct Palm 1」になっていたので、新たにこのブログ用に「Project Palm 1」に変更したバージョンを作った。

じゃ。


2008-12-28 | Project Palm 直接リンク

コメント