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2006/04/02

PPとPMの話。

Imgp0338 このサイトの名称にもなっている、幻のテキスト「プロジェクトパーム(Project Palm)」については、大いなるご期待をいただいたり、時にはご心配をおかけしたり、また時には呆れられたりしていることは承知している。

 具体的な事情については、下記ページを参照して貰うとして、

■Project Palm大作戦(Project Palm)

 そんなこのページが書かれてからも、1年半ほどの歳月がたった今、最新情報についても書いておく。

 2004年当時、是非ともこのテキストを読みたい!という皆さんからのメールをいただき、それを武器に、編集者の全面協力のもと、いくつかの出版社との交渉を進めた。こちらから売り込んだ会社はもちろん、アンケートをきっかけに「うちの会社の上司を口説いてみる!」とか「良好なパートナー企業をご紹介します!」と言ったお言葉をいただき、こちらでは想定していなかった企業など、複数の企業との交渉を続けたものの、およそ1年後、そのすべての未来が途絶えた。

 その間にも、Palm本を出す環境としては、ますます逆風吹きすさぶ時代を迎えていた。もがけばもがくほど前には進めない状況の果てに、この本のために無償のご協力をいただいた皆さんのためにも何とか紙の出版物として公開したいという私の夢は、目の前に見えるすべての手段を失った。交渉した会社の数は両手の指に達しようとしていた。それが2005年夏のことだった。

 まさに、このテキストは「時」を失った。

 とくに、前述の「Project Palm大作戦」にも書いたように、このテキスト「プロジェクトパーム」は、複雑な状況を背負っている。まずは、第一稿の執筆中の2001年に当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったPalm文化そのものが大失速を始め、第一稿が完成した2002年にはハンドスプリング社に続いてパーム社までが日本から撤退した。さらに、私も監修に絡んだとは言え、米国執筆者による同類本「シンプリーパーム」が日本でも出版され、第二稿がまさに完成しようとしている2003年6月、今度は米国Handspring社がPalm社(当時はpalmOne社)に吸収合併された。そして「Project Palm大作戦」後にも、激震は続いた。2005年2月にはソニー社がCLIEから撤退、同年5月には社名をPalm社に戻すと同時にJeff派のEd Coliganが正式CEOに就任、同年9月にはMicrosoft社との提携を発表、翌1月にはWindows Mobile搭載のTreoをリリースした。そんな激しく移り変わる時代に翻弄されるように、テキスト第三稿の最終章はその辿り着くべき未来を失い、結果として日本で出版するための理由をどんどん失っていった。

 そんな2005年秋、このさまよえるテキストの未来に一条の光が舞い降りた。

■Palm Source社が日系企業に買収された!(Project Palm)

 2005年9月、Palm OSの開発企業であるPalm Source社は日本の携帯ソフト企業ACCESS社に買収されたのだ。その結果、日本でもPalmOSあるいはそのDNAを受け継いだOSを搭載したスマートフォンや新世代型携帯電話が登場するかもしないという可能性など、日本のPalmに関する、いくつかの未来が見えてきた。

 そうした流れを受けて、アスキー社からすでに休刊になっていた「Palm Magazine」の特別号(永久保存版)の出版が決まり、そのコンテンツとして、「プロジェクトパーム」の部分抜粋を載せて欲しいという依頼が届いた。そして、先日、そんな「Palm Magazine永久保存版」がついに出版された。かつて「Palm Magazine Vol.15」では、山田達司篇の一部を抜粋したが、今回はPalmOS日本語版開発のアメリカ側のキーマンであるロブ灰谷の話など、同日本語版が完成していく黎明期の話を一部抜粋した。

 さらに、「Palm Magazine永久保存版」の流れを受けるように、新たな希望の光も見えつつある。具体的には、電子出版での公開を模索中だ。ただし、実を言うとまだまだ未来は決して薔薇色とは言えない。さまざまな障害が私の前には待っている。

 でも、もう闇夜ではない。いつ明けるとも知れない暗闇ではない。夜明けは確実に近づいているように見える。そう信じる2006年春だ。Palmの誕生からちょうど10年、私がPalmと出会ってから9年、パーム航空の閉鎖から6年、Project Palmの執筆開始から5年が経った。さらに、第一稿の完成から4年、第二稿の完成から3年、ProjectPalm大作戦のアンケートからでも2年の月日が経ってしまった。皆さんのご期待を裏切り続けてきたこの数年間が、ただただ心苦しい。

■Palm Magazine永久保存版(アスキームック)
■Palm Magazine 永久保存版 アスキームック(Amazon.co.jp)

 ところで、「Palm Magazine永久保存版」は、私の書いた「Project Palm特別編〜DNAの中の慕情・PalmOS日本語版への道」云々以前に、あまりにも素敵なコンテンツが揃っているので、是非とも読んで貰いたい!

 PalmSource社を買収した話題の企業ACCESS社に、山田達司さんと遠藤諭さんが直接乗り込んで、その幹部たちにインタビューするという最大の注目記事を始め、私の「Project Palm」にも登場する二人のキーマン、現Palm社のロブ灰谷さんや、元Palm Computing社のクレイグ・ウィルさんへのインタビュー、他にも、Palm界の綺羅星のようなスター執筆者たちによる、夢のような記事&コラムが満載で、おまけに特別付録のCD-ROMが2枚もついてくる!豪華な豪華な永久保存版だ。皆さん自身が楽しむために、そして、この種の本がこれからも出版される可能性の光を繋ぐためにも、是非とも買って貰いたい!

 あ、最後に、今日は4月2日なので、エイプリルフールじゃないよ。

2006-04-02 | Project Palm 直接リンク | コメント (0)