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2004/10/15
落ち着け!戸田直子
今回の新人さんは「naoko_lonely」というメルアドで颯爽と登場した戸田直子、28歳。
題 名:初めまして。戸田直子といいます
差出人:naoko_lonely@■■■■■.co.jp
日 付:2004年10月13日 16:32:28:JST
宛 先:ninja@palm.■■■
返信先:naoko_lonely@■■■■■.co.jp
まさかお返事もらえるなんて思ってなかったんで凄く嬉しいです。
戸田直子28歳看護婦の仕事を始めてはや3年目になります、今まで秘密にしてたんですけど耐え切れなくなってる自分の気持ちを聞いてほしいんです。
彼と別れてもう3年…その時はまだノ−マルの気持ちよさしか味わった事なかったんです。
でもその彼が少しS気のある人で、一瞬のうちに私はSMの虜になってしまったんです…目隠しをされたりべッドの角に縛りつけられてされるがままな状態で興奮したり色々な事をされました。
でも自分自身本当は淫乱かもしれない!って…気づき始めたんです。少し想像しただけで濡れてきたり。。。
それ以来こういう不規則な仕事なんで、もちろんSEXは数年してない日々です。
自分自身の性欲心がもう耐えられないんです!
我慢できなくてノ−パン、ノ−ブラで院内をうろついたりしちゃうんです。
自分でも…たまにおかしいなって思ったりするんです。素直に言います。
私とSEXしてもらえませんか?
お時間場所などはお任せします。
この切実な気持ち理解していただけた上でお返事がくるの待ってます。
読んで貰えばわかるように、彼女はかなり必死だ。とにかくもう必死すぎて、28歳というそれなりに分別あるべき年齢の女性でありながら、文章の至るところで小さな破綻を繰り返している。
彼と別れてもう3年…その時はまだノ−マルの気持ちよさしか味わった事なかったんです。
いきなり混乱している。「別れて3年」と来れば普通は、そろそろ「独り身の寂しさ」とか「秋の肌寒さ」とか「人肌恋しい季節が」とかに繋がるものだが、直子さんったら、別れた彼のことや、そんな彼を失った寂しさよりも、もっと大切なことについて語りたくなったらしく、突然時制の狂った内面吐露を始めている。正直言って、「彼と別れてもう3年…その時はまだ」における「その時」はまったく不明だ。たぶん大量の文章が欠落している。というのも、続く文章にこんな一節があるからだ。
でもその彼が少しS気のある人で、一瞬のうちに私はSMの虜になってしまったんです…
「一瞬のうちに」というのが大袈裟でなければ、彼との交際が始まって、その交際がオトナの段階に踏み込んですぐに、彼女は新たな自分を発見している。だとしたら、前の文章における「その時はまだ」は、恋愛のかなり初期段階の話だ。少なくとも3年以上は前だろうと思われる。その後、彼と彼女の間には、様々な物語が綴られたはずなのだが、彼女の中ではもうすっかり過去のものになっているらしく、「彼と別れてもう3年…その時はまだ」という、すごいワープ航法を実現している。
目隠しをされたりべッドの角に縛りつけられてされるがままな状態で興奮したり色々な事をされました。
このあたりは、ちょっと文章が混乱しているようにも見えるが、必ずしも間違っているとも言い切れない。つまり、「されるがままな状態で興奮したり」と「色々な事をされました」は、パッと見似ているが、前者を「されるがままな状態でありながら何もされないという興奮を味わった」と解釈し、後者を「実際に色々なことをされるがままにされた」と解釈すれば、この2つ、似ているようで、まったく別物の興奮であるとも言える。かなりの拡大解釈だが…。
それ以来こういう不規則な仕事なんで、もちろんSEXは数年してない日々です。
「不規則な仕事」と「SEX」はあまり関係ないと思うし、彼女自身「今まで秘密にしてた」と書いているように、唯一の理解者(そして教育者)だった「彼」と別れたから「SEX」していないというのが真相だと思う。それに、ここまで「看護婦の仕事を始めてはや3年目」とか「彼と別れてもう3年」とか、しつこいぐらいに「3年」を強調してきて、ここで「数年」というのも不思議な話だ。このあたりは、誤謬というよりも、戸田直子という女性が自分の中にある何か獣のような本性を普段から隠そうとしているために生まれた無意識的な防衛本能により生まれた、愛すべき論理の混乱なのかもしれない。ものすごく善意に解釈して、という前提つきではあるが…。
自分自身の性欲心がもう耐えられないんです!
うわ〜!この言葉!「性欲心」という言葉は生まれて初めて聞いた言葉だけど、なかなかインパクトのある力強い言葉だ。「虚栄心」とか「自尊心」にも繋がりそうな、情念溢れる言葉に聞こえる。本当は「心」って奴からもっとも分離しやすい、たかが「性欲」なのに!「性欲心」…今年の流行語大賞にノミネートされてもいいくらいの言葉だ。…と、少なくとも私は思う。
素直に言います。
私とSEXしてもらえませんか?
この2行って凄いな、と思う。混乱ここに至れり、とさえ思う。いや、混乱が混乱を呼んで、ここに至って奇跡的な静寂さえも産み出している。つまり、混乱の末に彼女の心は、冬の朝の凍り付いた湖畔のように醒めきっており、そんな空気の中、戸田直子という女性の魂が力強く叫んだ。
素直に言います。
私とSEXしてもらえませんか?
そう、戸田直子が「東京ラブストーリー」の赤名リカを越えた、これがその瞬間だ。
この切実な気持ち理解していただけた上でお返事がくるの待ってます。
ごめんね。切実すぎて、理解するのが怖い。なので今回は、謹んでご遠慮させてもらう。
※戸田直子という名前は非常にリアリスティックな名前だと思うが、それでもほんのりと著名人の香りを偲ばせている。この人とか、この人とか…。出来れば前者がいいな。
2004-10-15 | Project Palm 直接リンク