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2005/05/25

Palmブランド、復活へ

 正直、palmOne社の周辺でここ数日間に起こっていることは、外観だけから見ているとわかりづらいことの連続だ。

 多少の重複を恐れずに、18日の「LifeDrive」の発表とEd Colliganによる正式CEO就任以降に同社周辺で起きている出来事を時系列で並べてみると、こうなる。

■palmOne、4GバイトMicrodrive搭載の「LifeDrive」発表(ITMedia)2005.05.18

palmOneから4GバイトHDD搭載の新しいPDAが登場した。PCとMacintoshの仮想ドライブとして利用できるほか、音楽プレーヤーとしても機能する。Rhapsody to Goによる音楽転送機能も後日提供される予定。

■palmOne、エド・コリガン氏を正式CEOに任命(ITMedia)2005.05.18

米palmOneは5月16日、エド・コリガン氏(44)が取締役会で正式CEOに任命されたと発表した。同氏は前CEOのトッド・ブラッドリー氏が辞任した今年2月以来、社長職と兼任で暫定CEOを務めていた。

■Mark Bercow氏,palmOne, Incに復帰(palmfan)2005.05.20

palmOne, Incが,John Hartnett氏のセールス部門副社長への昇進,Mark Bercow氏のビジネス・デベロップメント部門副社長への就任を発表しました。

■PalmSourceのネイゲルCEOが辞任(ITMedia)2005.05.24

PalmSourceは5月23日、社長兼CEOのデビッド・ネイゲル氏(60)が22日付で辞任したと発表した。後任は暫定CEOに世界ライセンス担当上級副社長パトリック・マクベイ氏を任命、新CEO探しに着手している。

■palmOneが「Palm」ブランドの権利取得、社名も復活へ(ITMedia)2005.05.25

米palmOneは5月24日、「Palm」ブランドの権利を完全取得し、社名もPalmに変更すると発表した。PalmSourceとの合意に基づき、同社に3年半で3000万ドルを支払う。(中略)この夏には新しいロゴとデザインを披露、今年秋に発表予定のモバイルコンピューティング製品にはPalmの名称を採用する予定。

■palmOne, Inc,Palm OSライセンスを2009年まで再契約(palmfan)2005.05.25

palmOne, Incが,Palm OSのライセンスを2009年まで延長する契約を新たに結んだことを発表しました。アグリーメントでは,PalmSource, Incは最小で1億4850万ドルのロイヤリティーを受け取ることになっています。

 以上の流れを簡単に整理すると、1998年夏にPalmComputing社で、当時の親会社(3Com社)社長だったEric Benhamouが主導権を握って、それまで同社を動かしてきたDonna Dubinsky、Ed Colligan、Jeff Hawkinsの3人は会社を飛び出すことになった。翌年、この3人はHandspring社を創設した。こうして誕生した二つの会社Palm社(のちに3Com社から独立)とHandspring社はねじれた関係のままに歴史の中で、皮肉な闘争と共闘を続けた。しかし、技術とビジョンはあるが資金不足から破綻していくHandspring社と、お金とブランドだけしっかり獲得したのに経営手腕とビジョンのなさから破綻していくPalm社という構図が、その後の混迷の時代を見事に牽引した。そのねじれがようやく吸収され始めたのは2003年6月のこと。Jeff時代の財産を技術的にも資産的にも食い潰したPalm社は未来を失いつつあった。そこで、当時Treoシリーズで光明を見いだしつつあったHandsring社と合併。それでも最初はBenhamou時代の人間が主導権を握ってきた。それがさらに進んだ状態が、最近のpalmOne社だと言える。人もシステムも、1998年以前の時代に戻ろうとしている。ただし、これは懐古趣味ではない。おそらくは、急激なスピードで変化しつつある市場に対応するためのシフトチェンジをより容易にするための戦略と思われる。

 「人」という意味では、非常にフットワークが軽く、社員たちの信頼も篤いColliganが社長となった。「看板」という意味では、Benhamouが破壊したブランド「Palm」を再び復活させようとしている。残るは製品である。まだまだ混迷の続く欧米および中国のスマートフォン分野でどこまで活路を見いだせるか?資本投入とブランド徹底が行えるか?最後の挑戦と、次なる挑戦のための研究開発を始めたものと私は想像する。

 私はBenhamou時代に参加した人たちすべてに問題があったとは思わない。ただし、かつてPDAと呼ばれたモバイル・コンピューティングの世界は今、もの凄いスピードで急変している。そんな中、大時代的な鷹揚さでそのビジョンを語ることは、時として罪になる。そういう意味で、今回の急速な企業リソースの集約戦略を、私は評価したい。

 と同時に、Palmの名前を冠したもうひとつの企業、PalmSource社が主導する「PalmSource Mobile Summit and Developer Conference」も開幕して、大量のリリースが発表されつつある。さて?

2005-05-25 | Project Palm 直接リンク

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