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2005/01/13

葛藤してるニュースたち

【追伸2あり】2005.01.14 03:30am

 ずっと議論が続いてきた携帯電話論争に、英機関がと〜〜〜〜っとも微妙な判定を下した。

■8歳以下は使用を控えて 携帯電話の健康影響で英機関(Sankei Web)

英政府の独立機関、英国放射線防護局(NRPB)のスチュアート理事長は11日の記者会見で、携帯電話の電磁波が人体に危険を及ぼす確たる証拠はないとしながらも、子どもの使用に注意を呼び掛け、特に8歳以下には使わせるべきでないと保護者に警告した。(中略)報告書は、携帯電話が人体に危険を及ぼすという「確たる証拠は目下のところない」としながらも「不確実性も残っており、はっきりするまでは予防的なアプローチが必要」とした。

 かなり思い切ったニュース。

 でも、このニュースに関してはちょっと気になることがある。というのも、サイトによってニュースのニュアンスがちょっと、どころか、かなり違うのだ!

 Sankei Webと同様、「8歳以下の携帯使用」にまで触れているのは、メジャー系では以下の2サイトのみ。

■8歳以下は携帯ダメ・英政府機関理事長が警告(NIKKEI NET)

報告書は、携帯電話が人体に危険を及ぼすという「確たる証拠は目下のところない」としながらも「不確実性も残っており、はっきりするまでは予防的なアプローチが必要」とした。PA通信によると、理事長は携帯電話の人体への影響を指摘したこれまでの研究を「完全に無視することはできない」と述べ、3歳から8歳までの幼児・児童が携帯を持つことは「絶対に正当化できない」と訴えた。

■8歳以下の携帯電話は危険 英機関(CNN)

万が一その危険があった場合、子供は大人の何倍も危険にさらされることになると述べ、「3歳から8歳の幼い子供に携帯電話を買い与えるのが正しいこととは、とても思えない」と警告した。

 ところが、Mainichi Interactiveは、記事の中に「8歳」という言葉すらない。

■携帯電話:「人体に悪影響与える証拠見られず」英調査(Mainichi Interactive)

2000年に同機関が発表した「スチュワート報告書」のアップデート版にあたり、「決定的証拠は見当たらないが、事実関係が明らかになるまでは注意深い利用が望ましい」という前の報告書の結論を踏襲している。当初大きく取り上げられた子どもの使用への危険性に関しては、前回同様「特別に注意を払うように」と呼びかけている。

 記事タイトルがタイトルだけに、上記3サイトとは逆の結果にもとれる記事になっている。

 似たような記事は、メジャー系とは言えないが、WIRED NEWSにも見られる。

■英政府機関調査「携帯電話、健康への悪影響は確認できず」(WIRED NEWS)

当初大きく取り上げられた子どもの使用の危険性に関しては、前回同様「特別に注意を払うように」と呼びかけている。

 この記事を読む限り「8歳以下」云々の衝撃的な要素は、なぜか省かれている。一方、

■「子供に携帯電話を使わせるべきでない」、健康への悪影響で英国(IT Pro)

また米メディア(InfoWorld)によると、英国のIndependent Expert Group on Mobile Phones(携帯電話に関する独立専門家グループ)は2000年に、「子供は大人と比べ、一生で携帯電話を利用する期間が必然的に長くなる。子供は神経系統が発達段階にあるほか、頭の組織がエネルギを吸収しやすいため、放射電磁波の影響を受けやすい可能性がある」と注意を促している。

 CNETで見つけた上記のIT Pro記事は微妙。「8歳以下」という言葉こそないが、子どもの危険性についてだけはちゃんと指摘している。この記事なんかがまさに、今回の記事の裏にある葛藤を現しているように見える。

 ところで、メジャー系ニュースサイトのうち、asahi.comとYomiuri On-Lineには、13日0時時点、該当記事が見当たらなかった。asahi.comなんかはCNN日本語版とは提携してるはずなのに!…もうちょっと待ってみよう!

 ちなみに、Googleニュースで調べると…

参照●今回のニュースを載せたニュース系サイト

【追伸】2005.01.13 09:00am

 さて、最初のニュースを書いてから9時間近くたったが、asahi.comとYomiuri On-Lineでは、上記ニュースの関連記事がまだ出ていないか、あるいはすでに出ているが私は発見できないでいる。そんな中、通信社系のニュースは当然のように、とっくの昔に出ているので紹介しておく。

■8歳以下は携帯使用ダメ! 英政府機関の理事長が警告(共同通信)

英政府の独立機関、英国放射線防護局(NRPB)のスチュアート理事長は11日の記者会見で、携帯電話の電磁波が人体に危険を及ぼす確たる証拠はないとしながらも、子どもの使用に注意を呼び掛け、特に8歳以下には使わせるべきでないと保護者に警告した。

■子供にケータイ使わせるな=英委員会が勧告—危険の有無未確認で(時事通信)

NRPBのウィリアム・スチュアート委員長は報告書の発表に当たって記者会見し、8歳未満の子供にはケータイを与えるべきでないと述べた。報告書は、子供の神経組織はまだ発育中のため、放射線の影響を受ける危険が大きいかもしれないと述べている。子供の頭部の組織は大人よりもエネルギーを吸収するという。

 時事通信はさらに、上記のような写真を載せて、以下のキャプションをつけた。

写真はケータイでおばあちゃんに電話するマネをする英国の幼児

 さらに、スポーツ新聞系のニュースサイトも次々と記事を載せている。しかも、かなり詳細な内容だ。まずは、日刊スポーツ!

■「8歳以下は携帯持つな」電磁波予防(日刊スポーツ)

日本の総務省や国内の携帯電話各社は、当面静観する構え。NTTドコモは「『警告』を、否定することはできない」としながらも「国内で定められた(電磁波の)防護指針を守り、基準より低い数値で端末を作り、安全に配慮している」と強調した。NTTドコモが01年に行った調査では小中学生の4人に1人、24・5%が携帯を持っており「年々普及が進んでいる」状況で、子供の携帯所持率は高い。社団法人電波産業会では「国内の研究では子供に悪影響が出たという結果は出ていない」としている。

 ドコモのコメントもしっかりと伝えている。続いてサンスポ。

■8歳以下の携帯使用はNO!英・放射線防護局、警告(サンスポ)

スチュアート理事長の発言は、NRPBの報告書「携帯電話と健康」に関する会見で出た。「10代のお子さんをお持ちの方なら、防犯のため携帯を持たせることはもっともで、それは個々の自由です。しかし、3歳から8歳までの子供の携帯使用は絶対に正当化できません」わが子のことは万国共通で心配性の保護者にとり、聞き逃すことなど到底できないセリフだ。電磁波と健康被害との関連については世界中で研究が進められている。2000年に英政府の依頼で専門家グループがまとめた報告書は、子供の頭蓋骨(ずがいこつ)が大人に比べ薄いため電磁波が透過しやすく、危険性が高まると指摘。16歳以下の携帯使用を緊急時に限るよう提言した。今回の報告書は電磁波の危険性について「確たる証拠はない」としているが、理事長は「(従来の研究を)無視できない。予防的なアプローチが必要だ」と訴えた。

 「8歳以下」どころか「16歳以下」という年齢まで紹介している。かなり踏み込んだ内容。ややスキャンダラスな書き方とも思えるが、記事内容からすると、それほどの違和感は覚えない。

 ただし、現時点(13日午前9時)では、報知新聞系のニュースサイトとスポニチ系のニュースサイトには、上記関連のニュースを見つけることが出来なかった。どうやらまだウェブでは発表されていないのか、私が見つけ損ねているらしい。

【追伸】2005.01.14 03:30am

 その後、読者の増田新さんからの報告によると、asahi.comにも同内容の記事が出た。

■携帯電話「8歳未満は使わせないで」 英専門機関が警告(asahi.com)

警告を出したのは、英保健省の管轄下にある独立研究機関である放射線防護局(NRPB)。3〜7歳の使用は「妥当でない」とし、8〜14歳については、保護者の判断にゆだねるとしながらも、通話時間はできるだけ制限し、メールの使用をすすめている。

 うん?メールならいいんだ?え?メールって携帯メールのこと?…ちょっと混乱!

 ちなみに、記事のタイムスタンプを見ると「(01/13 16:19)」とあるので、もっとも早いニュース系サイトにこの記事が出てから16時間以上も遅れた記事掲載ということになる。やっぱり、影響の大きいニュースと言うことで慎重になったのか?

 一方、asahi.comと並んでこのニュースを扱っていなかったYomiuri On-Lineの方は、どうやら私の探し方が悪いらしく、翌日未明になってもいまだ見つからず。果たして?

2005-01-13 | Project Palm 直接リンク

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