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2004/12/23

突然浮かび上がるキーボード・その3

 さて、記事「突然浮かび上がるキーボード」の続編の続編だ。

 さて、ようやく現物についての話が始まる。まずパッケージ等について。これについては、いちいち解説するのが面倒なくらいに、アイテムが多い。理論的な解説も結構大変そうだな〜と思っていたら、ウェブで便利なページを見つけた。このページを観て欲しい。このキーボードに関するほぼすべてのことがここには書かれている。これを読めば、パッケージのことから、理論のことから、使い方や使い勝手までがすべて書かれている。しかも、かなりわかりやすい!

■バーチャルキーボード VKB(Virtual Keyboard)(Qwerters Clinic)

キーボード&HMI研究会2003で実物を拝んで「これは絶対に買う!そしてバラす!」と意気込んで製品化を待ちわびていた赤外線レーザー投影式キーボード「バーチャルキーボード」がついに販売開始。実は昨年触れたのはCANESTAの評価機で、今回のものはVKBのモジュールを使ったものなのですが、そんなウンチクは後回し。さっそく開梱!。

 ほらね、ほぼ完璧なリポートでしょ?

 さて、なので私のリポートはこれで終わる…というのも、さすがに詐欺だ。ここまで引っ張っておいてレビューもなしかよ?…まあまあ、こうやってレビューをなかなか書かないだけでも、普段の私とは何かが違うぞ、ぐらいに気づく人は気づくと思うのだが、そんな微妙な話は置いておいて、やっぱり書く。ちょっとぐらいはレビューらしきものを書く。レビューってほどじゃないおで、レビュって感じ。

 第一印象は、前回も書いたけど、浮かび上がるバーチャルなキーボードが本当に美しい。
 
 そして第二印象つーか、実際にキーに触れてみた、もとい、キーを叩いてみた感想は、ちゃんとキーを叩くと、CLIE(私が繋いだのはPEG-TH55だった)に文字が表示された。オプションでタイプ音も設定できるのだが、何もない机の上で指を動かすだけで、傍らの液晶画面に文字が入力されていく様は、ちょっと感動的ですらある。なんか、SFというより、ハリーポッターの世界に飛び込んだような気分になった。

 ただし!私の打ち方が悪いのか、たまにまったく打てないキーが登場する。しかも、次の日にはまったく別のキーだけが打てなかったりする。このあたりのナイーブさが、リアルじゃないバーチャルなキーボードのつらいところ。理由がナイーブすぎてわからなかったりする。

 また、同様にバーチャルゆえの問題として、指先の空中姿勢問題がある。バーチャルなキーボード(テーブルの表面)から1センチ以上も浮いているはずの指が、突然キーを叩いたりする。しかも、時として連打される。これはもう手に負えない。いったいこの指のどこが何に反応しているのかもよくわからない。この連打が始まって、指が慌てれば慌てるほど、幻のキーが連打されたりするから慌ててしまう。私の経験した最悪のケースでは、すべての指が空中に浮いたままで100文字近い半角文字が打ち込まれてしまった。

 そんな感じで、時として暴走したり沈黙したりするこのキーボードの特性をしっかりとマスターすればいいのだろうが、今のところ、このキーを叩かない暴走やキーを叩いてる沈黙を完全に避けることが出来ないでいる。とにかくこのキーボードはとってもナイーブなのだ。感覚的にはディジタイザーの甘いPalmマシンのグラフィティって感じだ。結構ストレスがたまる。

 以上は私が体感した感想だが、前述のリポートにはもっと論理的なこのキーボードの問題点が記述されている。つまり、

■検知方式の制限で同時押しできないキー有り
上記のような検出機構のため本体から放射線上に並んだ[Ctrl]+[Tab]なども効きません。あとは[左Shift]+[2]で[#]などもなかなか出てこないですね。この辺りは[右Shift]を使えば問題なく入力できるので、同時押しの場合は片手ではなく意識して両手を使うようにすると吉です。

 なるほど。そもそもが指の動きをレーザーで検知するシステムだから、レーザーの発射口を一本の指が塞ぐと、その後ろにあるキーに指が降りても反応してくれないのだ。こりゃ、もっともだ!

 さて、その他に気づいたことをアトランダムに書く。

1)キーボードの大きさ
白い紙にバーチャル・キーボードを映し出してみる。すると、ほぼA4サイズの紙に収まることがわかる。

2)転倒検知用スイッチの長所と短所
本体裏面についている「転倒検知用スイッチ」が便利だ。このおかげで、本体がテーブルから動かされるとレーザー光線は消える。また、名前の通りに、何かの理由で本体が倒れてしまった時にもレーザー光線は切れる仕掛けになっている。これはこれで便利だ。確かに便利なのだが、この「転倒検知用スイッチ」が本体底面よりもかなり余分に出っ張っているので、本体が少しばかり倒れやすい。普通に立てておくだけなら問題ないが、本体とPalmマシンと結ぶこのケーブルが何かに引っかかったりすると、すぐに本体が倒れてしまう。この辺の構造がちょっと不安定な気がする。

3)ケーブル・ブルース
もうひとつ悩ましいのは、先ほども書いたように、本体とPalmマシンはケーブルで結ぶ。問題はこのケーブル自身にある。バーチャルキーボードを使いながら、ケーブルで繋いだPalmマシンをうまく配置する方法が結構難しいのだ。

ちなみに私は現在、下図のように接続している。時折ミスタイプした場合にスタイラス等で直接修正をするとなると、最低でもこの位置にPalmマシンがないと困るのだ。とくに、Palmマシンがバーチャルキーボードの奥に置いてしまった場合、スタイラスで作業をしようとして、間違えてバーチャルキーボードの見えないキーを叩いてしまう可能性がある。だが、この位置にPalmマシンを置いた場合、ケーブルの取り回しが非常に難しいことになる。本体やPalmマシンを安定させるためには、ケーブルの両側にある程度のゆとり(それぞれ画面から見切れている部分がそれだ。本体から伸びるケーブルと、Palmマシンから伸びるケーブルが、画面の外でそれぞれ最小サイズの円弧を描いている。)が必要だ。ところが、そのためにはケーブルの長さが微妙に短すぎるのだ。言ってる意味、わかる?このケーブルの寸足らずのために、Palmマシン本体に軽くスタイラスで触れた拍子に、Pamlマシン自身がクルッと軽く回転をして、その影響でケーブルが引っ張られて、バーチャルキーボードの本体までもが軽くクルッと回転してしまう。そのために本体がわずかに傾いて「転倒検知用スイッチ」が作動して、バーチャルキーボードが消えてしまったりするのだ。このトラブルがたまに起こる。ケーブルがもう少し長くて、柔らかな素材だったら…と思う。

4)ケーブル・ブルース2
ケーブルにはもうひとつ、困った問題がある。まずはこれを見て貰おう。

この製品には本当に素晴らしい出来のケースがついている。うん、このケースの出来は非常に良い。使い込んだ訳じゃないが、素材も仕上げもすべて、非常に丁寧に作られている。そんなこのケースに本体を入れて運べる。しかも、気持ちいいぐらいにすっぽりと入る。

ところがだ!

どうしてもケーブルが余ってしまうのである。これをどこにどうすればいいんだろう?

まさか!せっかく本体に素晴らしいケースをつけたのに、こうしてケーブルだけが無視されているのがどうにも残念!

【そろそろまとめを!】

 さて、そろそろまとめを書く。前述のように、レーザー光線で浮かび上がるキーボードは本当に美しい。それだけで単体の製品にして、女の子とのクリスマスデートで彼女への愛のメッセージを夜の地面に描きたいぐたい。(←使用目的が違いすぎるが…)

 これだけ美しいバーチャルキーボードだから、人前でこれを見せたなら周囲の人々はほぼ確実にオッと声をあげて駆け寄るはずだ。これを生まれて初めて観て何とも思わない人間を想像することは難しい。だが、私の場合、同じくらいに自分がこのバーチャルキーボードを人前で使っている姿を想像することは難しい。理由は簡単だ。どうしてもこのキーボードを使いこなせていないからだ。いくらキーボードで周囲をアッと言わせても、私がキーボードを叩きはじめた途端にアァァァとため息をこぼすだろう。少なくとも私がこの製品を誰か人前で使うためには、いや、それ以前に実用目的で使うためには、まだまだ猛特訓が必要だ。

 あとはケーブル問題。その運搬方法はまあ、何とかなるにしても、バーチャルキーボード使用中のケーブル処理にはもう少し智恵と慣れが必要かもしれない。でも、この問題はそれほど解決は難しくない。おそらく慣れがその多くを解消してくれそうだ。

 あと、褒めたりなかった点を少しだけ追加。それは本体の大きさと重さだ。人の解釈にもよるだろうが、35cm x 92cm x 25cmで100gというサイズは悪くない。最近の薄型折りたたみ式キーボードとの比較は、個人差の問題だろう。ただし、こっちには「充電」というハンデがつく。充電用のコンセントは例によって、それなりに巨大で重い。下手をすると本体よりも!

 私の感想は、だいたいそんな感じだ。ひとことで言うなら、この作品は「意欲」だ。製品自体もかなりの「意欲」によって作られたものなら、これを使いこなすにもそれなりの「意欲」が必要だ。そういう製品だ。…ちなみに、私はそろそろ限界かも。

以上。

2004-12-23 | Project Palm 直接リンク

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