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2004/12/16

久しぶりに「買う理由」について

 クリクラ!で見つけた以下の記事がとっても気になったので、今日はその話。

■未曾有のダイエットブームの波がモバイル端末に(PC WEB)

 で、まずは、クリクラ!とほぼ同じ箇所を引用してみる。

ただ、試用者の間でWeight Watchers On-the-Goは大好評である。そのコメントを見ると、PDAとか、スマートフォンとか、もちろんPalm OSという言葉は出てこない。中にはPalmデバイスをWeight Watchersが作っていると思って、「おまけの住所録も便利ね」と言い放つ人もいる」と言い放つ人もいる。う〜〜ん、さすがダイエット。PDAがどうしても攻略できなかったユーザー層にあっさりと浸透している。

 まず、最初に簡単に説明しておくと、記事中に出てくる「Weight Watchers On-the-Go」というソフトとは以下のようなものだ。

Palm OSデバイスに25,000以上の食べ物のポイント情報が収められ、食事をしながら数タップでポイントを追加できる。それらの情報は簡単にオンラインアカウントと同期できる。

 実はこのアイデアは、それほど新しいものではない。過去に類似の製品が、ま、規模はともかくあったように思うし、実は今から3年以上も前に、女性専用のPalmOSユーザグループの人たちがこういうソフトを自分たちで作れない物かと研究しているという噂を聞いたことがある。こうしたアイデアの先にある、ひとつの完成品なんだろうと想像する。さて、改めて冒頭の台詞に戻る。例えばこの一文だ。

中にはPalmデバイスをWeight Watchersが作っていると思って、「おまけの住所録も便利ね」と言い放つ人もいる。

 クリクラ!がこのあたりのコメントをどんな理由で引用したかは不明だけど、「PDAは今、機能よりもデザインよりも、買うための理由が必要だ」という私の持論にも近いこのコメントが、PDAの現状をかなり突いていると思う。

 さらに、この記事が鋭いなと感じたのは、以下の文章による。

PDAの販売台数が急減、話題のスマートフォンも一部のビジネスユーザーの枠を超えられない。そんなハンドヘルドの行き詰まり状態を判っているのかな? と思える発表ラッシュである。

 補足すると、「発表ラッシュ」というのは、前述の「Weight Watchers On-the-Go」のような製品が他にも出てきたよ、という話だが、私が問題にしたいのは、その直前に出てくる「話題のスマートフォンも一部のビジネスユーザーの枠を超えられない」という言葉だ。

 PDAの不振については、しばしば携帯電話がその役割を代行しつつあるから、という説がもっともらしく横行しており、実際、そういう面も多い。しかし、このサイトでも何度か取り上げてきたように、私やこのサイトの読者がTreoのようなマシン、あるいは、電話機能を持ったPocketPC、つまり、スマートフォンのような奴に憧れるほどには、世間の人間はそんなものには憧れちゃいない。ここでも理由は簡単だ。「買う理由がない」からだ。こうなってしまった理由はただひとつ。世界が20世紀末の頃のように、ただただ楽観的なだけではいられなくなったからだ。そのために、もう少しだけ、自分のことを自分で考える必要が出てきた。

 同じようなことは、何もPDAやスマートフォンの世界の話だけではない。パソコンの世界でも進んでいる。だから、「買う理由がない」パソコンはどんどん売れなくなっている。IBMなんて会社は「買う理由」を作る会社になって、パソコンそのものは売らなくなっちゃった。ある種、時代を象徴している。ちなみに、Microsoft社という会社はずっと「買わないこと困る」理由でユーザを攻めてきたが、今、大きな過渡期に来ている。Apple社という会社は「買う理由」の多くを今でもデザイン性や優越感などに求めており、そのためパソコンの方はメジャーにはなりきれていない。

 もちろん、「買う理由」などは主体的なものだから、「だって私は欲しいもん!」と言ってしまえば、それだけで「買う理由」にはなる。でも、そんな話はここでしたいとは思わない。趣味でこっそりとどこかのんびり出来る場所で気心の知れた人間としたいと思う。替わりにここで言いたいのは、一般庶民の「買う理由」だ。一般庶民というのは少し絞りが甘すぎるので、まあ、「一般消費者」ぐらいでもいいか。ここに製品を売るなら、今、「買う理由」が絶対にいる。ラーメン屋でも少し前なら「流行っている」というだけですぐに行列が出来たが、今では、流行っていても味が不味いと、すぐに行列はなくなる。そういう時代になってきたと思う。

 そうやって考えると、スマートフォンすらもPDAに取って代わるとは思えない。それはちょうど、iモードは今でも大ヒットを続けているけれど、あれらの機能を使いこなしている人は非常に少ない。価格が安くて、他の機能を使いこなさなくてもそれなりに元が取れるから使っているだけだったりする。なんだか、ある時点から「良さげ」というだけでIT製品が売れることが少なくなってきたような気がする。それ以前だと意外に「良さげ」というだけでIT製品が売れたりもしていたように思うのだけど。そんなことを考えていると、クリクラ!で以下のような記事も見つけた。

■シャープ、電子辞書を7割増産・今年度100万台(NIKKEI NET)

シャープは今年度の電子辞書の生産を前年度比約7割増の100万台に引き上げる。販売が好調な高機能のカラー液晶機を2.5倍にするほか、従来型も機能を強化して生産・販売を伸ばす。携帯情報端末(PDA)の販売が伸び悩む中、電子辞書を携帯情報機器の新たな収益源に育てる。

 今からどうかは、結構微妙だけど、少なくとも電子辞書には今のところ、一般消費者が「買う理由」がある。ところが、PDAになった途端に、それはきわめて希薄になる。あるいは、一部マニアだけの熱烈な理由になる。う〜む。

2004-12-16 | Project Palm 直接リンク

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