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2004/09/07

皮肉な未来

■アップル vs MSの舌戦がスタート--「MSN Music」公開で早速(CNET)

「2時間も車の後部座席に座らされる子どもに『車の中でビデオを見たいか』と聞いてみればよい。自分の子どもなら見たがるだろう。Steveの子どもはバッハやモーツアルトしか聴かないのかもしれないが、うちの子どもは『ファインディングニモ』を観たがる。だれが作ったのか知らないが、あれは素晴らしい映画だ」

 これは、自社のポータブルビデオ戦略を批判したApple社のSteve Jobsに対するあてつけとして発した、Microsoft社のボス、Bill Gatesの発言だという。Gatesにしては少しばかり洒落たオチのついた意見だが、子供時代の私なら、2時間も車の後部座席に座らされた状態で3.8インチの液晶画面なんかじっと見つめていたら、ゲロを吐きたくなったはずだ。あるいは、異常に視力が低下してGates並みの眼鏡を買って貰う必要が生まれただろう。それでもやっぱり、「ニモは見たい!」とぐらい言ったかもしれない。

 とかなんとか、いつものようにちょっとした悪口で始めたものの、今回Microsoft社が発売した製品について、私はそれほど否定的な感情を持っていない。その製品とはコチラ!

■MS『ポータブル・メディアセンター』の第1号、米国で発売(Wired)

クリエイティブ社の製品は横約14センチ、縦約8センチ、厚さ2.7センチで、重さ340グラム。3.8インチの液晶ディスプレー(解像度は320×240ピクセル)、20GBのハードディスクを搭載している。ウィンドウズ・メディア形式の動画や音楽、パソコンで録画したテレビ番組を再生できる。MP3やMPEG-1/2にも対応した。バッテリーの持続時間は音楽再生で最大22時間、動画再生で最大7時間。店頭価格は499.99ドルと予想されている。

 もちろん、使い勝手はまだ不明なままだが、発表されたスペックは悪くないと思う。とくにバッテリの動画再生最大7時間という数値は、本当であればかなり上出来だ。しかも!

コンテンツ業界もマイクロソフト社と連携しており、大リーグは同日から、試合の動画のダウンロード販売を開始した。ウィンドウズ・メディア形式で、一本3.95ドル(ファイルサイズは400〜600MB)。

 大リーグが好きかどうかはともかく、上記のようなデジタルコンテンツの同時セールス開始も悪くない。ちょうどiPodとiTunes Music Storeの関係に似ている。私なら欧州のサッカーリーグの試合が常時ネットからダウンロード可能なら、速攻でハードウェアを買っているかもしれない。

■Zen Portable Media Center(CREATIVE)

 PalmOSユーザならニヤリとしてしまう人も多いと思うが、製品名は「Zen」と来た。

 という訳で、最後に総評だ。

 Microsoft社系の製品には珍しく、途中でも書いたように、それほど悪い製品じゃないと思う。それどころか、私自身も欲しい!と思えるスペックだ。ただし、一般の人たちがiPod並みにほしがるかというと、かなり疑問だ。音楽はいつでもどこでも聴きたくなる。てゆーか、ちょっとだけ無理すれば、だいたいどんなシチュエーションでも聴くことが可能だ。ところが映像は違う。かなり無理をしないといつでもどこでもという訳にはいかない。

 結局のところ、映像を見るためには「比較的じっとしていること」という条件が加わる。でないと、交通事故に遭うか気が散るか、視力を低下させるか、吐き気を催す可能性が高いからだ。おまけに、iPodの場合、通勤電車の中でも低めのボリュームなら「とっても恥ずかしい音楽」を聴くことは可能だが、映像端末の場合、通勤電車の中で「とっても恥ずかしい映像」を見ることははばかられる。iPodに比べて映像端末は、こういったいくつかの「制約」を乗り越えなければ普及することが出来ない。だから、私個人は欲しがったとしても、世間一般が欲しがるとはあまり思えないのだ。

 でもって、最後に勝敗を決めるのは、ハードウェアのちょっとした使い勝手と、ソフトウェアの圧倒的な供給体制だろうと思う。iPodにおけるMP3音楽のように手軽に入手できれば、それなりに普及するだろう。でも、変換等が面倒くさいと、結局のところ一般にまでは届かない。…さて?

2004-09-07 | Project Palm 直接リンク

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